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雑多に色々

退職エントリー

2019年8月31日をもってとある今や外資系になった国産電機メーカー系の会社を退職することにしたので、退職エントリーなるものを書いておきます。

なお、現在(8月)は有給消化中です。 1ヶ月の長期休暇は学生以来なので13年ぶりくらいかな。

はじめに

これは私個人が感じたことや考えたことをベースに書いています。私は「空気を読むのが苦手」「オドオドしやすい」タイプなので、「空気が読める人」や「物怖じしない」タイプの人は感じ方が違うと思います。

また、退職希望理由は以前に纏めていましたが、現時点での考えや想いを改めて残しておきます。 残しておくことで、自己のふりかえりに使う予定です。

定番のアレ

めっちゃ大事な定番のアレを置いておきます!

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何をしていたのか?

流通小売業向けの業務系システムエンジニアとして、顧客である企業の社内外のシステム構築を生業にしていました。 所謂1次請けSIベンダーで、開発はほぼせず、設計などのドキュメント作り(Excel方眼紙使い)やテスト作業、課題管理等のプロジェクト管理、顧客との折衝等が主な仕事でした。 また、ウォーターフォール型開発のみであり、請負契約以外はなかったと思います。
※協力会社さんとは派遣・準委任契約もあった。

なんでやめるの?

一言でいうと価値観の不一致です。 様々な価値観の方向性が合わなくなってしまい、結果的に諦めて別々の道を選ぶことにしました。(離婚理由みたいやな)

1. SIが嫌になった

コンサルや受託を含めた「事業会社とは別の組織から提案・システム構築を行う」ビジネスが嫌になってしまいました。
システム構築をビジネスとし、KPIを売上に設定してしまうと、どうしても「無駄な物を作って工数を稼ぐ」「わざわざフルスクラッチにして工数を稼ぐ」方向に力学が働いてしまい、そうなってしまうと、事業会社のビジネスに貢献しているとは言えない、と考えているからです。
私はITを活用してビジネスに直接的に貢献したい。しかし会社のやり方ではそうなっていない。 このギャップが結構辛かった。

そして、このビジネス貢献の話を何度か上司としたけれど、毎回初めて聞くかのように反応をされました。つまり、聞き流しているし、(長期的な意味でも)課題と捉えてはいなかったんだろうな、と思います。 私からすると、顧客の方を見ていないわけなので、その内見限られるんじゃないかと思ったりもします。

※勿論、既存の顧客が求めていることと、会社が提供できていることが合致していて、顧客が価値を感じているのであれば、その関係においては特に問題はないと思います。 ただ私の考え方と一致しなかっただけ、ですね。

※全ての受託会社さんが現職のような考え方・価値観ではない、ということは分かっているんですが、ビジネスの構造上、そっちに力が働くよね。という意味でもSI/受託は避けました。

2. 切磋琢磨できる環境に行きたかった

これはそのまんまです。 情報収集・勉強している人がほぼいない。 パレートの法則(2:8)以上にいない。

加えて、教えて貰って当たり前精神。 協力会社さんは聞けば教えてくれるので、それに慣れてしまったんでしょうね。 それはビジネス上の利害関係があるからなんですが…。

また、HOWの部分だけを手順書ベースで聞いたりするので、見た目が変わると途端に対応できなくなるのでは、と心配しています。(心配していない)
AWSのコンソールとかしょっちゅうUI変わるけど大丈夫なんだろうか。(心配していない)

3. 現場からマネージャーまで現状維持思考

当人達の中には「自分は現状維持思考ではない」と自認している人もいると思うんですが、「いや、あなたも十分現状維持思考ですよ」と言いたい。 「『良いやん』と思っても行動しない」「(特に組織的な文脈で)できない理由を挙げて『難しいな』で終わらせる」っていうのは現状維持思考と変わらないでしょ。 部下には「出来る方法を考えろ」と言うのに自分は「できない」と軽く言っちゃうとかもうね。

※私もソース管理されていない状況下でgitを導入するのをやめたりしていたのであまり偉そうなことは言えない…。(誰も操作やコマンドを覚えないだろうなという絶望的推測から止めたんですが)

4.発注したってる思考

協力会社さんへのリスペクトを感じないどころか、大分下に見ている文化でした。 「発注したってる」とか「下請け」という言葉が平気で出てくるのはどうかと思う。 自分達が出来ることをリソース節約(投資すべき領域へのリソース集中)のために出してるならまだわかるんんだけど、自分たちができない開発業務をお願いしているので、リスペクトはあって然るべきだと思うんだけどなぁ。
そして、協力会社さんへの依存体質もかなりのモノでした。

惜しいなと思うこと

1. 給与は悪くない

言うても大企業なので、給料は悪くなかったんですよね。順当に行けばまぁそんなに困ることはない位には給与を貰えたと思う。ただ、嫌な思いをしてストレス貯めた分を換金してる感じがするので、そういう意味じゃ換金レートが低すぎるかな。

2. 社内勉強会の定着

1年半程社内勉強会の運営をしていました。 最終的な定常メンバーは5人いない程度、技術寄りだと2・3人というところでした。 同じ事務所内で50〜60人くらいいる内でこの人数で、多いのか少ないのかは分からない。 新入社員さんもちょいちょい出てくれていたり、協力会社の若手の方がよく企画を持ち込んでくれたりしていた状況でした。

私が在籍し続けたらどうなったのか分かりませんが、途中で投げ出した感があるのでは少し残念です。 残ったメンバーに期待したいと思います。

3. ヌルいので楽なのは間違いない

正直、管理職になるまでは守られている環境なので、そのままいたらヌルくて楽だったのは間違いない。ヌルいところでヌクヌクしとけたら気楽だろうな感はある。茹でガエルになって死ぬけど。

退職交渉的な場面で言われたこと

多分忘れられない。

1. 子供はどう思うやろうな/教育上どうなんやろうな

ここまで価値観の違いが出て来るのも面白い。ホントまさかの言葉だった。
「むしろ子供の教育上ええことやと思いますよ」と返しました。 これから人材流動性が高くなっていく中で、自分の成長が望めない・価値観が合わない環境下に居続けることを良しとするのは悪しき文化ですよね。

2. 安定性の違い/リスク

転職先がベンチャーなんですが、安定性やリスクに触れての話もありました。
「どこの会社でも倒産リスクがあることは同じでしょ」と「倒産した時に他で働けるだけのスキルがないことの方がマズい。ここではそんなスキルは付かない。」と返しましたね。

休暇取得に入る直前1ヶ月がマジで酷かった

酷い部分がこうも一気に表出するとは思わなかったし、最後の1ヶ月は本当に残念な気持ちで一杯だった。

退職までの流れ

時期 イベント
7月頭 退職の意思を伝える
7月15日 部内に周知
7月25日 部門長より顧客へ周知
7月29日 退職の挨拶
7月31日 最終出社
8月1日 有給消化開始
9月1日 転職先に初出勤

やってもらわな困る/丸投げ依存体質、

有給消化開始まで1ヶ月ある状態で退職の意思を伝え、引き継ぎと実案件全てを7月中に処理することが難しかったので、タスクを整理する為に打ち合わせをした際に言われたのが「これもあれもやってもらわな困る。8月は有給使う、残業もしませんでは困る。」
いや知らんがな、と思ったんですが、それ以上に感じたのは「協力会社さんへの丸投げ依存体質が行き過ぎると、退職予定の社員にまでこんな言い方をするのか…」と非常に残念な想いになりました。
案件が多い時期で大変なのは分かっていたので、善意で残業をすることにしました。半年以上ぶりに定常的に残業したよ。

増え続ける実案件タスク

前述の打ち合わせで倒すタスクを決めたにも関わらず、実案件のタスクが増え続けます。嘘やろってくらいに。
途中で「これ以上振るなら引き継ぎ間に合わんからな」的なメールをしたらちょっと減りました。

なかなか情報を公開しない

部内で退職を公開したのが有給休暇取得2週間前(でも社員にだけ)、顧客に至っては3日前でした。 そして、部内では公開するまでは引き継ぎが開始できずに引き継ぎ期間が短くなり、顧客に周知しないために問い合わせが発生して引き継ぎ作業や残った実案件の処理が中々進まず。。
この辺りは、SIerにありがちな「プロジェクトの遅延報告はギリギリまで頑張ってからにする」精神に通じる物がありますね。

一人で障害対応

引き継ぎ期間中に発生した障害対応を私一人で進めていて、指示した当の本人が談笑していた時はもう…
せめてペア・モブでやるべきじゃないかな。
この辺りでも協力会社さんへの丸投げ依存体質を感じました。

何とかして有給休暇取得数を減らそうとするマネジメント

  • 4月頃に退職意思と有給休暇を1ヶ月使うことも伝えた際、「有給休暇は労使の交渉」や「使わなくても良い」といった発言があった。
  • 顧客に退職の挨拶に伺った席でも「在籍している以上電話をかけることがある」と言われたり。「いや最終日に会社ケータイ置いてきますよ」と答えました。
  • 極めつけはその帰り道に「メールチェックのために8月末に1日出社した方が良い」とご発言。どんだけケータイ持っとかせときたいねん。メリットが何もないので「検討する」と答えておいて、翌日にお断りしました。
    • だからかは分からないですが、通例では最終出勤日の朝礼か夕礼で挨拶をするんですが、特に何もありませんでしたww

余談

退職前の有給休暇取得について

こういった退職に伴う有給休暇中の業務対応是非について、気になって調べてみたのでここでシェアしておきます。

  • 有給休暇は一定期間以上働いた労働者に与えられる物のため、その取得の取り消しを会社側が指示できないし、月割/日割にすることはできない。
  • 会社は「この時期は忙しい/何人か休むので取得時期を変えてほしい」という「時期変更権」はあるが、退職直前の一括使用は日程を変更する先がないため、権利を使用できない(従う必要はない)。
  • 有給休暇中に業務指示があって、自分の意思で働いた場合、その時間分を出勤として処理するか、有給休暇を取り消すなどの対応をした方が良い。
  • これらの有給休暇に関する決まり事は労働基準法39条で定められていて、違反した場合は6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が課せられる。

これを先に伝えていたおかげで、今のところ電話もSlackも一切ないです。
※詳しく知りたい方はご自身でも調べて見て下さいね。

最後に

最初の方にも書いていますが「あくまで私の価値観とは合わない」ということで価値観の違いをクローズアップしています。ただ、この文化に合う人は合うし、良い会社だと思いますよ。(棒

と、最後に文章をチェックしていて思ったんですが、もはや呪詛なのかな?
ただまぁ感じたことは事実なので、会社名は書かないようにして公開しました。

どなたかが参考にして組織を改善するネタなり、入社を検討されている方の参考になり、お役に立てば幸いです。

最後にもう1回大事なものを置いておきます! www.amazon.jp